社内恋愛狂想曲
ここまで来ると“優しくて誰からも慕われる面倒見の良い人”を通り越して、もはやいい人すぎて気の毒なレベルだと思う。

私も他人のことは言えないけれど、こんなにお人好しでこの先大丈夫なんだろうか。

「というわけで許可をいただきましたので、仕事が終わったら1階ロビー横の自販機コーナーに集合ということでお願いします」

瀧内くんは言いたいことをすべて言い切ると、三島課長を置いてさっさと歩き始めた。

「三島課長、何してるんですか。急ぎますよ」

「あ……ああ……」

呆気にとられてポカンとしていた三島課長はとっさに我に返り、慌てて瀧内くんの後を追う。

仕事はできるし人望も厚いのに、どうして普段は黙って部下に振り回されてるんだろう?

「志織、私らも急がんと」

葉月が腕時計を私に見せた。

あと10分ほどで昼休みが終わってしまう。

「あっ、そうだね。急ごう」

私と葉月は小走りで会社へ戻った。

ここ最近、以前と比べてやけに慌ただしいのは、私の気のせいではないはずだ。



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