社内恋愛狂想曲
三島課長が一途なのはなんとなく想定内という気はするけれど、忘れられない人がいるから他の誰とも付き合わないということなら、その“忘れられない人”と一緒にならない限り、三島課長は生涯独身ということになってしまう。

一生独身を貫いてでも、どうしてもその人でないといけないくらい誰かを好きになれるって、すごいことなんだと思う。

私は誰かからそこまで深く愛されたことはないし、私自身もそこまで一途に誰かを思ったことはないから、少しうらやましいような気もする。

「僕らが入社するより前の若い頃に、秘密の社内恋愛で傷付いた経験があるらしいです」

「三島課長が秘密の社内恋愛……?」

私が入社した頃にはすでに誰からも慕われる優しい先輩だったから、三島課長が社内恋愛で傷付いたというのは正直言うとピンと来ない。

三島課長と直接そんな話をする機会があるかどうかはわからないけれど、もし私が護とのことや将来のことを相談したら、三島課長はどんな反応をするんだろう?

“そうか、俺も昔こんなことが……”なんて、経験談を語ったりするのかなと一瞬思ったけれど、やっぱり三島課長は自ら過去を話したりはしそうにない。

その代わり、ただ真剣に私の話を聞いて、否定するでも考えを押し付けるでもなく、すべてを受け止めてくれそうな気はする。

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