社内恋愛狂想曲
「その後もいろいろあって、恋愛には慎重というか、臆病になってしまうみたいですよ」

「そっか、いろいろあったんだ……」

今まで聞いたことがない話だったから気にはなるけれど、三島課長がいないところで勝手に過去のプライベートなことをこれ以上聞くのは良くないと思い、あえてそれ以上は聞かなかった。

話しながら材料を探してかごに入れてレジに向かおうとすると、瀧内くんがストローつきのコーヒー飲料をふたつかごに入れた。

「喉渇きませんか?そこのベンチでひと息ついてから三島課長の家に行きましょう」

「うん、そうだね」

レジで会計をしてもらっていると、入れた覚えのないチョコレート菓子がいくつかかごから出てきた。

私の知らないうちに瀧内くんが放り込んだらしい。

「いつの間に?」

「さぁ?」

会社での瀧内くんはクールで口数も少なく、ついこの間までは人との間に壁を作っているように見えたのに、最近はわがままで子どもみたいな一面があることを知った。

警戒心が強い分だけ、心を開くとなついて甘えてくるのが憎めなくて、瀧内くんってやっぱり猫っぽいと思う。

< 269 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop