社内恋愛狂想曲
私の知っている三島課長はいつも笑っていたけれど、その裏では社内恋愛でつらい経験をして傷付いていたことは私にとってはかなり衝撃的で、なんだか悲しくてちょっと涙が出そうになった。

信号が青になり、三島課長はいつものようにゆっくりと車を発進させた。

軽々しく聞いていい話ではなかったような気がして申し訳なくて、私は助手席のシートに深く身を沈めたまま、ただひたすら指先をこすり合わせ、それをじっと見つめる。

すると三島課長は左手で、無意識に項垂れていた私の頭を撫でるようにポンポンと軽く叩いた。

「別に気にしなくていいよ、昔のことだから。佐野がそんなに落ち込むことない」

まだ新入社員の頃、私が仕事でミスをしたり、思っていた通りにうまくいかなくて落ち込むと、三島課長が心配していつもこんな風に慰めてくれたことを思い出した。

「佐野は昔も落ち込むとそうやって下向いて、指先をこすり合わせて、それをじっと見て考え込んでた。主任になってもその癖は変わらないんだな」

「……そうですか?知りませんでした」

「佐野はきっといい奥さんになるんだろうな」

「えっ?!」

三島課長が思いがけないことを言ったので、今度は私の方が驚いてしまった。

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