社内恋愛狂想曲
「なんですか、突然……。あっ、料理ですか?それとも世話焼きで母親みたいだとか……」

「いや、そういうんじゃないよ。佐野は優しいし気遣いができる人だから、きっと旦那になる人は幸せだろうなって、単純に思っただけ」

「そう……ですか……」

普通に料理をするだけで、“料理ができるからいい奥さんになれそう”と言われたことはなくはないけど、こんな風にさらっと私の人間性を誉めてもらえたのは初めてだから、ちょっと照れくさいけどやっぱりとても嬉しい。

三島課長が結婚相手に求めるものは、身の回りの世話をしてくれるとか、生活においての都合の良さじゃなくて、きっともっと精神的な安定とか、そういうところなんだ。

これはもう、何がなんでも三島課長には幸せになってもらいたいと、さっきよりも強く思う。

「私、三島課長には絶対に幸せになってもらいたいです」

私が急に親戚のおばさんみたいなことを言ったからか、三島課長は一瞬ポカンとして、そのあとおかしそうに笑いだした。

「なんで笑うんですか?私、真面目にそう思ってるんですよ」

「……ありがとう。そうなるといいんだけどな。俺も佐野には幸せになって欲しいと思うよ。できれば……」

三島課長はそこまで言って口をつぐみ、車を私の住むマンションの駐車場の端に停める。

< 285 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop