社内恋愛狂想曲
恋人がいるにもかかわらず、恋のときめきを忘れ渇ききっていた私にとって、ラブストーリーなんてものは、いわばサプリメントのようなものだ。

三島課長と恋人らしく振る舞えと言われても、どんな風にすればいいのやらと思っていたから、足りないものを補うにはちょうどいい。

これを観れば私もセロトニンが放出して、恋する乙女のような可愛げが取り戻せるだろうか。

そんな風に久しぶりの恋愛映画に期待して館内に入ったものの、予想外のカップルシートに度肝を抜かれ、二人してしばらく固まってしまった。

しかし上映時間が迫り、そこに突っ立っているわけにはいかないので、二人とも遠慮がちに微妙な間隔をあけて席に着いた。

この映画館が全席カップルシートだなんて、一言も聞いていなかった。

どうりでカップルが多いわけだと合点がいく。

瀧内くんはおそらくそれを知っていて何も言わなかったのだろう。

私と三島課長に、二人がけのシートでイチャイチャしながら映画を観ろとでも?

いや、イチャイチャしろとは言わなかったけど、二人で楽しんで来いって言ったのはそういう意味?!

< 329 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop