社内恋愛狂想曲
「婚約者……?!マジか……!」

「ああもう、マジだよ!わかったらさっさと仕事してくれ!」

照れ隠しなのか三島課長はかなりぶっきらぼうにそう言って、中村さんの背中を思いきり叩く。

「わかったわかった。そうかぁ、潤もついに……」

そういえば三島課長は「嘘はつきたくない」と言っていたし、おそらく嘘をつくことには慣れていないから、かなり思いきって私を婚約者だと紹介したんだと思う。

婚約者の役を引き受けた以上、私が原因で嘘だとバレるわけにはいかない。

ここはとりあえず、黙ってニコニコしてやり過ごすのが無難だろう。

「それでえーっと……何がいるんだっけ?」

「練習に必要なもの、一通り全部だって。シューズとサポーターとジャージとソックスとスポーツバッグと……。それくらいかな」

「じゃあシューズから見てみるか?ちょうど新商品を入荷したところなんだ。佐野さん、足のサイズは?」

「24センチです」

中村さんは足元の棚から24センチのシューズが入った箱をいくつか取り出した。

ひとつ箱を開くと、中には青地に白いラインの入ったハイカットのシューズが入っていた。

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