社内恋愛狂想曲
「そういうのは二人でやれよ。佐野だけじゃなくて葉月まで固まってるじゃん」

「……悪いな、つい本音が……」

いやいや、本音じゃなくて演技でしょ?

こんな演技ができるなんて、三島課長も相当の曲者だ。

「だけど私、朝はパン派」

「そうか。でも俺はパンでもごはんでも、志織が好きな方でいいよ」

「……休みの日なら、味噌汁くらいは……」

これは演技だと何度も自分に言い聞かせつつも、なぜか私は三島課長との結婚後の穏やかな日常生活を思い浮かべて赤面してしまう。

本気を出した三島課長、恐るべし……!

この演技力を活かして、どこぞの劇団にでも入ればいいんじゃなかろうか。

「大変お待たせいたしました。お待ちの14名様、お席へご案内いたします」

にこやかに現れた店員にボックスシートに案内され、私が三島課長の隣に座ると、モナちゃんと里美さんがその向かいの席に着いた。

同じテーブルに着いた伊藤くんと葉月は思わず顔を見合わせる。

瀧内くんに関しては、至っていつも通りの仏頂面だ。

店を出るまで何事もなければいいけど。

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