社内恋愛狂想曲
『もしもし志織?もしかしてもう寝てた?』

「うん、寝てた」

『ごめんな』

護は私が寝ているところを起こされて不機嫌になっていると思い込んでいるらしい。

本当は起きていたけれど、面倒だから寝ていたことにして、さっさと電話を切ってもらおう。

『あのさ……会いたいんだ。明日の夜、志織の家に行っていい?』

私に会いたいって……そんなこと思ってもいないくせに、いまさらなんで?

また私に夕飯でもたかるつもり?

「たぶん明日からしばらくは残業で遅くなると思うから」

それは嘘ではなく、明日からはいつもの業務に加え、もうすぐ部署を異動する人の引き継ぎや、先月発売したばかりの商品のデータの集計を任されているから、きっといつもより帰りはかなり遅くなるはずだ。

『俺は遅くなってもいいんだけど……』

どうして護がこんなに会いたがるのかわからないけど、できれば私は会いたくない。

「私はちょっと余裕ないと思うから、仕事が少し落ち着いてからでもいい?」

『……わかった。でも時間ができたら教えて。早く志織に会いたいから』

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