社内恋愛狂想曲
これは私がして欲しかったやつだ。

頼んでもいないのに、私が望んでいたことを言ってくれたり、こんな風に優しく労われると、勘違いなんだか本気なんだかわからなくなる。

エレベーターの扉が開く直前、三島課長の手が私から離れた。

それを少しだけ寂しいと思ってしまう。

三島課長が触れていたところに手のぬくもりや柔らかい感触が残り、また私の鼓動をかきたてた。

営業部にいたときは、これくらいのスキンシップは日常的にあったはずなのに、あの頃とは明らかに何かが違う気がする。

違っているのは……もしかして、私?

いやまさか、そんなはずは……。

気のせい、気のせい。

ただちょっと、こんな風に優しくされることに慣れていないせいで、無駄にドキドキしてしまうだけなんだから。

何度も自分にそう言い聞かせながら、三島課長と二人で会社の近くのイタリアンレストランに入って食事をした。

そこでも三島課長は、自分から進んで料理を取り分けてくれたり、出張帰りの博多駅で私が好きそうなお土産を悩みながらいくつも選んだと言ったり、いつもに増して優しかった。

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