社内恋愛狂想曲
結局私は三島課長の手をふりほどくことができず、そのまま歩き続けた。

「一度俺の家に寄って、お土産渡したら送っていくよ」

これ以上二人でいると自覚したばかりの気持ちが抑えきれなくなりそうだから、私は早く一人になりたかった。

「まだ電車もあるし、一人で帰れますよ」

「それはそうかも知れないけど……やっぱダメだ、それだと俺が心配で落ち着かないから送ってく。志織に拒否権はなし」

「拒否権なしって……」

俺様みたいなことを言っても優しさの塊みたいな人だ。

一人になりたいと思ってたはずなのに、もう少し一緒にいられると思うと嬉しい。

いっそのこと、この優しさは全部偽物だよって言ってくれたらいいのに。

三島課長の家に着いて、お土産を取りに行った三島課長を玄関先で待った。

今なら私は三島課長に何をされても拒めないだろう。

むしろそうして欲しいような気もする。

逃げることができないように、あの手で私の体を押さえ付けて、いいわけができないように唇を塞いで、何も考えられなくなるくらいに激しく私を求めてくれたら……。

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