社内恋愛狂想曲
「ちなみに佐野主任はただ名前がにているだけで、会長との血縁関係はありません。そうですよね、佐野主任」

「う……うん……私に会長の血は一滴も入ってない……」

私がそう答えると、瀧内くんは楽しそうに笑った。

「利用されずに済んで良かったですね。そういえば、さっき佐野主任と橋口先輩が席を外している時に、部長から電話がありましたよ。橋口先輩、すぐに会社に戻ってください」

「部長から?」

「はい、急ぎの用みたいなので、大至急戻ってください。ここの代金は僕が立て替えておきますので」

護は怪訝な顔をして首をかしげながら、慌てた様子で店を後にした。

「おまえも帰れば?用は済んだだろ?」

瀧内くんは奥田さんに対して、相変わらず冷たい態度を取る。

奥田さんはそれに慣れているのかたいした反論もせず、大きくため息をつきながらテーブルの上に千円札を3枚置いて立ち上がった。

「言われなくてもそうします。佐野主任、ありがとうございました。お先に失礼します」

私と葉月と伊藤くんにも頭を下げて、奥田さんはひっそりと帰っていった。
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