社内恋愛狂想曲
「あっ、そうや。瀧内がしれっとした顔で“奥田さんからしつこく言い寄られて困ってるんです”って橋口に相談するのはどうやろう?」

なんてこった、葉月はノリノリで嘘のシナリオを考え始めている。

「“でも僕は志織と結婚するつもりだから”とか言うたら、橋口めちゃめちゃびっくりするんちゃう?」

なんだその安っぽい昼ドラみたいな台詞は。

いくら芝居でも、瀧内くんがそんなことを言うとは思えない。

「なんで僕がそんなことしなきゃいけないのかよくわからないんですけど……」

「ごめんね、葉月かなり酔ってるから気にしないで」

葉月も酔っていることだし、瀧内くんにこれ以上無理を言うのは申し訳ないからそろそろお開きにしようと言いかけた時、瀧内くんがゆっくりと眼鏡を外して口を開いた。

「まぁでも……協力ならしてもいいですよ」

「うん、そうだよね、協力なら……え?」

今のはなんの聞き間違いかと耳を疑い、思わず何度も瞬きをした。

瀧内くんはポケットから取り出したハンカチでレンズを拭きながら、うっすらと笑みを浮かべている。

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