社内恋愛狂想曲
「37歳のバツイチ独身らしいですよ」
「へぇ……実年齢よりずいぶん若く見えるね。三島課長と同じくらいだと思ってた」
「志織さんが入社する少し前まで、うちの課にいたそうですけど……率直に言うと、僕はあの人嫌いです」
瀧内くんの人の好き嫌いがはっきりしているのはなんとなくわかるけど、いくらなんでも昨日初めて会ったばかりの上司を理由もなく嫌ったりするとは思えない。
下坂課長補佐は、着任早々、何か瀧内くんの気に障るようなことでもしてしまったんだろうか。
「嫌いって……どうして?」
「僕、思い出したんですよ。潤さんの家で見かけたときは暗くてよくわからなかったけど、昨日の朝礼で顔を見て名前を聞いて、“あっ、あの女だ”って」
「あの女?」
「潤さんを捨てて上司と結婚した二股女です」
瀧内くんは9年ほど前に一度だけ、三島課長の家で下坂課長補佐と会ったことがあると言った。
その頃まだ高校生だった瀧内くんは、今と同じように三島課長のことを兄のように慕っていて、家に泊まりに行ったり勉強を教えてもらったりしていたそうだ。
ある休日、いつものように三島課長の家に遊びに行くと女の人が一緒にいて、三島課長から彼女だと紹介されたのだと言う。
それが下坂課長補佐らしい。
「へぇ……実年齢よりずいぶん若く見えるね。三島課長と同じくらいだと思ってた」
「志織さんが入社する少し前まで、うちの課にいたそうですけど……率直に言うと、僕はあの人嫌いです」
瀧内くんの人の好き嫌いがはっきりしているのはなんとなくわかるけど、いくらなんでも昨日初めて会ったばかりの上司を理由もなく嫌ったりするとは思えない。
下坂課長補佐は、着任早々、何か瀧内くんの気に障るようなことでもしてしまったんだろうか。
「嫌いって……どうして?」
「僕、思い出したんですよ。潤さんの家で見かけたときは暗くてよくわからなかったけど、昨日の朝礼で顔を見て名前を聞いて、“あっ、あの女だ”って」
「あの女?」
「潤さんを捨てて上司と結婚した二股女です」
瀧内くんは9年ほど前に一度だけ、三島課長の家で下坂課長補佐と会ったことがあると言った。
その頃まだ高校生だった瀧内くんは、今と同じように三島課長のことを兄のように慕っていて、家に泊まりに行ったり勉強を教えてもらったりしていたそうだ。
ある休日、いつものように三島課長の家に遊びに行くと女の人が一緒にいて、三島課長から彼女だと紹介されたのだと言う。
それが下坂課長補佐らしい。