社内恋愛狂想曲
その後、居酒屋からの帰りに駅で瀧内くんと別れて一人になってからベッドに入って眠りに落ちるまで、いろいろ考えた。

護は私のことはもう好きじゃないのかなとか、歳上で可愛いげのない私を捨てて若くて可愛い奥田さんに乗り換える気なのかなとか、悪いことばかりが頭をよぎった。

私が浮気をやめてと頼んだら、やめてくれるだろうか。

やめるどころか、“だったら別れる”とあっさり言われたら?

どうするのが私たちにとって一番いいのか、どうすれば波風を立てず事なきを得るのか。

だけどこのまま気付かないふりをしてやり過ごせば、必ず護と幸せになれると胸を張って言えるだろうか?

目を閉じると、テレビで見たドラマのシーンを思い出すように、会議室で護と奥田さんが抱き合ってキスをする姿が頭の中に何度もくりかえされた。

それはいくら打ち消そうとしても消えてはくれず、息が詰まるほど胸が苦しくて、ただ止めどなく涙が溢れた。

みんなと一緒にいるときは、自分はあまりショックを受けていないのかも知れないと思っていたけれど、一人になると一気に感情が込み上げて、嫌でも現実を現実として受け止めるほかなかった。

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