社内恋愛狂想曲
「玉砕覚悟で、三島くんともう一度やり直したいって言ったら、今も私のことが好きだって言ってくれて、また付き合うことになったの」

「えっ……?」

「いろいろ落ち着いたら結婚するつもり。私も大人だから、かわいい後輩の佐野さんと二人で食事するくらいは許すつもりだけど……それ以上の関係になるのはちょっと……ねぇ?」

下坂課長補佐はすごい目力で私を見つめる。

三島課長には手を出すなと言いたいんだろう。

「私はバツイチだしもういい歳だから、適当な相手と恋愛する余裕なんてないけど……佐野さんにはまだまだ恋のチャンスはいくらでもあるわよね?」

胸に込み上げたなんとも言い難い不快感をあらわにしないように気をそらそうと、カップに残っていたコーヒーを一気に飲み干した。

カラになったカップをギュッと握りしめたとき、ポケットの中でスマホの着信音が鳴り響いた。

スマホを出して画面を見ると、発信者は母だった。

「すみません、母から大事な話があるから今晩電話すると言われていたのを忘れてましたので、私はこれで失礼します」

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