社内恋愛狂想曲
「いただきます。ちょうど喉が渇いて……」

「お礼は社食のプリンでいいよ、同じ値段だし」

「えーっ……ハードル高い……」

ただでさえ入手が難しいラッキープリンをゲットできるほどの運が、今の私に残っているだろうか。

そんなことを考えていると始業時間のチャイムが鳴り、私は沈んだ気持ちを切り替えようと一気に缶コーヒーを飲み干した。

前日に失恋して泣いても、社会人として仕事に支障があってはいけない。

今日も一日、会社の発展に貢献すべく頑張ろう。


午前中は若手に仕事を教えつつ、自分の仕事をした。

新商品の売り上げはすこぶる好調なようで、営業部は発売当初の予定数より遥かに多い数量の製造を工場に要求している。

いくつかの工場に連絡を入れると、人員を増やして就業時間を伸ばしても、現場はもう休む間もないと嬉しい悲鳴をあげていた。

「この分だと次のボーナスは期待できそうですね」などと言いながら、工場長から生産現場の様子や出荷に対する改善要求などを聞いた後、「工場で働く人たちに無理がないよう、安全第一で頑張ってください」と言って電話を切る。

電話で聞いた工場の現状や現場からの要求などをまとめ終わる頃には、まもなく昼休みになろうとしていた。

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