社内恋愛狂想曲
私がため息をつきながら呟くと、瀧内くんは楽しそうに笑った。

「だったら潤さんに責任取ってもらうしかなさそうですね」

「えっ?責任って……」

どうやって責任を取るのか尋ねようとすると、タクシーが三島課長の家の前に停車した。

瀧内くんはしばらく待っていてくれるように運転手に頼んでから、三島課長の体を揺する。

「潤さん、着きましたよ。歩けますか?」

「ああ……うん……」

二人で三島課長の体を支えながら家の中に入った。

この家に来るのはずいぶん久しぶりのような気がする。

リビングのソファーに三島課長を横にならせたあと、瀧内くんはキッチンで二つのグラスに水を注いで戻ってきて、ひとつを私に差し出した。

「志織さんもかなりお酒飲んでたでしょう。ちゃんとお水飲んでくださいね。ほら、潤さんも水飲んで」

瀧内くんが三島課長を起こして水を飲ませるのを眺めながら、私も水を飲んだ。

冷たい水が喉を通りすぎ、お酒のせいで熱を帯びた体に染み込んでいくようだ。

三島課長が水を飲み終わり、またソファーに横になったのを見届けたあと、空になったグラスをテーブルに置いた途端、急に体の力が抜けて足元がふらつき、ドサリとソファーの端に倒れ込む。

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