社内恋愛狂想曲
「志織がしないなら、俺がする」

「ええっ?!」

三島課長は私の頬を両手で包み込み、ゆっくりと顔を近付ける。

酔っているとはいえ、他に好きな人がいるのに雰囲気に流されてそんなことをするなんて!

私は思いきり腕を伸ばし、三島課長のあごの辺りを押して必死で遠ざけた。

「ちょっ、ちょっと待ってください!ふざけたのは謝ります!だけど他に好きな人がいるのにそんなことされたら、さすがの私も傷つきます!」

私がそう言うと、三島課長は私の肩に額を乗せてため息をついた。

「……うん、それもそうか。じゃあちょっとお願いがあるんだけど」

なんとか思いとどまってくれたことにホッとして、偽婚約者の最後の役目を果たすつもりでうなずく。

三島課長は私の背に手を回し、抱きかかえるようにして優しく起こしてくれた。

こんなことをされるとまたドキドキしてしまう。

それをごまかそうと、私は精一杯の作り笑いを浮かべた。

「お願いってなんですか?なんでも言ってください。ふざけたおわびに、私にできることならしますので」

「明日の朝、志織の作った味噌汁が飲みたい」

無茶なお願いじゃなくて良かった。

味噌汁くらいお安いご用だ。

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