社内恋愛狂想曲
1時間ほど残業をして今日の仕事を終えた。

護はどうせ今頃、鼻の下を伸ばして奥田さんの部屋に行って猿みたいに盛っているに違いない。

とにかく無性に飲みたい気分だ。

飲まなきゃやっていられない。

だけど木曜のこんな時間にいきなり連絡しても、どうせ誰もつかまらないだろう。

入社7年目の29歳にもなると、学生時代に仲の良かった友人たちもどんどん結婚して子供が生まれ、夜はおろか休日の昼間でさえも、前もって約束していないと会うことすらできなくなった。

結婚を機に仕事をやめて家庭に入り、夫と小さな子供の世話に奔走する毎日を送っている友人たちとたまに会うと、夫と姑の愚痴や子育ての苦悩と喜びを延々と聞かされる。

そんな話を散々聞かせておいて別れ際には必ずと言っていいほど、独身で会社勤めをしている私のことが気楽で羨ましいとか「もういい歳なんだから早く結婚したら?」と言う。

誰に言われなくても私だって一生独身で仕事に生きるつもりではなく、そろそろ結婚したいとも思うし、いずれは子供だって欲しい。

その相手はきっと護なんだとなんの疑いもなく信じていたのに、まさかこんな形で裏切られるなんて思ってもみなかった。

昼間に見た光景がまた脳裏をよぎり、胸に広がるモヤモヤを吐き出すように大きなため息をつく。

独身であることや彼氏に浮気されていたことを、心の中でいくらぼやいてもどうにもならない。

やけ酒に付き合ってくれる相手もいないし、コンビニにでも寄って酒を調達して、家に帰って一人寂しく飲むしかなさそうだ。

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