社内恋愛狂想曲
「……それ、本当ですか?」

「うん……全部本当の話。前も言ったと思うけど、俺はできるだけ嘘はつきたくないから、志織には本当に思ったことしか言ってない。それに俺は“偽婚約者になってくれ”なんて一度も言ってないよ」

そう言われて思い返してみると、三島課長は私に、“婚約者のふりをして”でも“偽婚約者になって”でもなく“俺の婚約者になって”と言っていた。

あのときは変わった言い回しだと思っただけだったけど、本当に婚約者になってと言っていたということか!

「それで……なんとか俺の方を見て欲しくて、柄にもなく甘い言葉言ったりさりげなく触れたり、さっきは最後の手段でちょっと強引に迫ってみたりもしたんだけど……俺の方見てくれるどころか、全然気付いてももらえなかった」

三島課長が私に言った言葉を思い出して、あれもこれも全部本心だったのかと思うと、照れくささや嬉しさが込み上げて、急激に鼓動が速くなる。

全然自覚したことなかったけど……あれで気付かないない私って、どこまで鈍いの?!

「志織には好きな人がいるってわかってるんだけど……その相手とまだ付き合うとかそういう段階じゃないなら、俺にチャンスをください。俺とのこと、真剣に考えてみて欲しいんだ」

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