社内恋愛狂想曲
濡れた髪を拭きながらリビングに戻ると、潤さんはソファーに座ってぼんやりしていた。

「潤さん、お先でした」

声をかけると、潤さんは微かに肩を跳ね上がらせる。

「ああ……うん。それじゃあ俺もシャワー浴びて来ようかな」

どことなく潤さんの動きがぎこちなく感じるのは気のせいだろうか?

私はソファーに座ってバッグの中から手鏡を取り出し、まじまじと自分の素顔を眺めた。

うっすらとでも化粧をしておくべきなのか、それとも素顔でいるべきなのか悩んだけど、結局化粧はしなかった。

早かれ遅かれ潤さんには素顔を見せることになるのだろうから、無駄な抵抗はやめたという感じだ。

がっかりされなければいいのだけど。

しばらくすると潤さんがお風呂から戻ってきて、冷たいお水の入ったグラスを私に差し出した。

二人でソファーに座り、一緒にお水を飲む。

潤さんはその間、ずっと黙りこんでいた。

お水を飲み終わると潤さんは壁掛け時計をチラッと見上げ、ゆっくりとソファーから立ち上がる。

時計の針は2時半を少し過ぎた辺りをさしていた。

「もうこんな時間だ……。そろそろ寝ようか」

「あ……そうですね……」

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