社内恋愛狂想曲
「もしかして、ご両親に俺を紹介するのをためらってる?」

「まさか!ちょっと考え事してただけです」

「それにしてはずいぶん深刻そうな顔してたけど……考え事って、俺には言えないようなこと?」

潤さんに言えないというよりは、聞かなければわからないことだ。

聞かなくてもなんの問題もないのだろうけど、このまま聞かずにいるとどんどん聞けなくなって、気にし続けなければならなくなりそうな気がする。

「あのね、潤さん……こんなことを聞くのもいまさらなんだけど……聞いてもいい?」

「うん?なに、改まって」

信号が青に変わり、潤さんはゆっくりと車を発進させた。

運転中にこんな話をするのもなんだし、私の家に着いてからにした方がいいだろうか。

そんなことを考えて話を切り出すのをためらっていると、潤さんは「聞きたいことって?」と話を促す。

「えっとね……前にこの車に乗せてもらったときに、助手席の下に落ちてたイヤリングのことなんだけど……あれって、下坂課長補佐のものなんでしょう?」

思いきって尋ねると、潤さんはほんの少し顔をしかめた。

「そうだよ。あのあとすぐに返したから俺にはもう関係ないけど……」

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