社内恋愛狂想曲
「ごめん、急にそんなこと言われても困るよな。俺はずっと志織が好きだったから、一緒にいられることになって嬉しくて先走ってしまうけど……志織はこれまでといろいろ環境が変わるわけだし……俺のことだってついこの前までは、ただの同僚だと思ってたんだから……」

話しているうちに潤さんの声がどんどん小さくなって、自信なさげな表情に変わっていく。

もしかして潤さんを不安にさせてしまったかも知れない。

私は慌てて潤さんにしがみついた。

「私、潤さんのことは本当に大好きだから!だけどあんまり急だったからびっくりしただけ!私も潤さんと早く一緒に暮らしたいと思ってる!」

「志織、無理しなくていいよ?俺、ちゃんとわかってるから。一緒に暮らすのも、結婚も、志織の心の準備ができるまで待つつもりだけど……やっぱり、ちょっと焦ってるかも」

潤さんの予想外の言葉に、私は首をかしげた。

「……焦ってる?どうして?」

「早く結婚しないと、志織の気が変わりそうな気がして怖い」

ああ……そうか。

潤さんは母親に愛されなかったことや必要とされなかった経験のせいで、いつかまた大事な人が自分から離れて行くんじゃないかと不安になるのかも知れない。

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