社内恋愛狂想曲
「お土産渡そうとしたときに顔を合わせて、そのあと俺が急いで車で出かけただろ?部長たちと食事しながら、後輩たちとバレーをやってるって話したら、そのメンバーは誰かって聞かれて志織の名前も出てるし……練習場所までどうやって行くのかって聞かれたから、俺が車でみんなを送り迎えしてるって話もしたし……もしかしたらって思ったのかも」

「女の勘ってやつですかね」

潤さんの推測が正しかったとして、そのとき下坂課長補佐は、私とは二度ほどチラッと顔を合わせただけだったはずなのに、潤さんとの関係を怪しんでいたとしたら、女の……いや、下坂課長補佐の勘は恐ろしいとしか言いようがない。

私なんか6年半も潤さんが好きでいてくれたことにもハッキリ言われるまで気付けなかったのに。

いや……これは私が鈍感なだけか?

「そうそう、イヤリングは人事異動があった日に会社で渡したよ。そのためだけに二人で会うのはいやだったから」

潤さんと下坂課長補佐の間には本当に何もなかったらしい。

私の完全な取り越し苦労だったというわけだ。

些細なことだけど、これで心に引っかかることはなくなった。

「そうなんですね。気になってたこと聞けてスッキリしました」

私が笑いながらそう言うと、潤さんは赤信号でゆっくりブレーキを踏んで車を停車させてから私の方を見た。

< 666 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop