社内恋愛狂想曲
「お母さん……さっきからちょっと踏み込みすぎじゃない?」

「そう?だって志織と結婚するってことは、家族になるのよ?私たちも潤さんのことを知っておいた方がいいと思わない?」

母の言うことは一理あるとは思うけど、それはつまり、潤さんの心の傷をえぐることになるのではないか。

それに私の母の歯に衣着せぬ言葉によって、潤さんの女性への苦手意識がさらに強まるかも知れない。

「そうかも知れないけど……その辺はかなりデリケートな問題だから……」

なんとか母の尋問を止めようとしていると、潤さんは私の手をギュッと握って笑みを浮かべた。

「志織、俺は大丈夫だよ」

「でも潤さん、話すのつらいでしょ?」

「いや、それなりの覚悟はしてきたから」

それから潤さんは、女性不信になった理由を説明するために、自分の生い立ちと過去の恋愛について詳しく話し始めた。

両親は真剣な面持ちで、何度もうなずきながら潤さんの話を聞いていた。

潤さんが一通り話し終えると、母は新しいお茶を湯呑みに注ぎ、テーブルの上に用意していたお茶菓子を勧めた。

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