社内恋愛狂想曲
「潤さんのことは大好きだし、ずっと一緒にいたいって思う……。だからプロポーズされて本当に嬉しかったし、二人で幸せになりたいって思った。けど……潤さんの家のことを聞いたら急に不安になって、浮わついた気持ちでは一緒になれないと思ったの」

正直な気持ちを話すと、潤さんはうつむいて私の手を離し、テーブルの上で拳を握りしめた。

「俺は浮わついた気持ちなんかで志織にプロポーズしたんじゃないよ。俺の一生をかけて志織を幸せにしたいって思ってる。俺には志織しかいないから」

「わかってる。だから……私にそれなりの覚悟ができるまで待って欲しい……」

私のことを6年半もの長い間想い続けてくれた潤さんに、これ以上待てと言うのは酷なことなのかも知れない。

それでも私は、大事なことだからこそ見て見ぬふりをして曖昧なままにはしておけないと思う。

いい加減な気持ちじゃないのは私だって同じなのだ。

「また志織の気持ちがわからないまま待つのはつらいな……。志織の気持ちが俺から離れて行きそうで怖いよ……」

潤さんがうつむいたまま呟いた。

それが潤さんの本音なのだと思う。

私はまた潤さんを不安な気持ちにさせているのだと思うと、これ以上どう言えばいいのかわからなくなった。

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