社内恋愛狂想曲
「ありがとう……。私も葉月のこと大好き」

私が素直にそう言うと、葉月は少し照れくさそうに笑って、私の右手の甲をポンポンと優しく叩いた。

「なんや、素直に言えるんやん。じゃあ三島課長のことは?」

「……すごく好き」

「うん、それでええんやで。志織は先のこといろいろ考えすぎて不安になったんやろうけど……先のことなんか誰にもわからんからな。せっかくお互いの気持ちに気付けたのに、まだ起こってもないこと心配して今の気持ちを抑え込むのはもったいないで」

葉月はいつになく感情を込めて噛みしめるようにそう言ったあと、「経験者は語る」と笑って見せた。

「私にも似たような経験あるから、志織の気持ちはなんとなくわかるねん。前にも話したやろ?志岐は誰にでも優しいし、めっちゃモテるから、いつか私から離れて行くんちゃうかって怖かった、って」

私が“それなりの覚悟ができるまで待って欲しい”と言ったとき、潤さんも「志織が離れて行きそうで怖い」と言った。

潤さんの“好きな人がいつか離れて行くかも知れない”と恐れる気持ちは、私が思っている以上に深刻なのかも知れない。

< 728 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop