社内恋愛狂想曲
今すぐにでも潤さんに会って伝えたいけれど、今夜は病院から出ることはできないし、せめて連絡だけでも取れないかと考えていると、ドアをノックして看護師が顔を出した。

「佐野さん、おうちの方と連絡取れましたよ」

病院に運ばれてすぐに電話をしたときは、家の電話にも母と父の携帯にも繋がらず、その後も何度か電話をかけてみたそうだけど、一向に連絡がつかなかったらしい。

先ほどやっと連絡が取れ、事故のことや現在の状況について説明したあと、容態も落ち着いていることだし、もう面会時間も終わるので面会は明日にしてはどうかと言ってくれたそうだ。

「お母様が明日の午前中に来られるそうです。退院の時間もお伝えしておきました」

「わかりました、ありがとうございます。お手数おかけしてすみません」

「それと、面会終了時間が過ぎましたので、そろそろ……」

看護師は葉月の方をチラッと見て微笑んだ。

「あ、すみません、もう帰りますんで」

葉月はそう言って、慌ててイスから立ち上がる。

看護師が軽く会釈をしてドアを閉めると、葉月は私の方を見て笑った。

「もうそんな時間か。体しんどいのに長居してごめんな」

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