社内恋愛狂想曲
瀧内くんの含みを持たせた言い方が気になって、なんとか潤さんのことを聞き出そうと思ったけれど、瀧内くんは荷物を手にさっさと病室を出ていった。

だったら伊藤くんと葉月に尋ねようと思いながら振り返ると、伊藤くんが私とは目を合わさないようにして席を立った。

「俺もそろそろ行くよ。葉月は?」

「私も郵便局寄りたいし、そろそろ行くわ。そこまで一緒に行こ」

伊藤くんに続いて葉月までもが席を立つ。

「そうかぁ……フラれたかぁ……。俺はてっきり、潤くんは佐野のことが好きなんだと思ってたんだけどな。まぁ、失恋なんてよくあることだし、佐野もあんまり気にしない方がいいよ」

「いや、だからそれは……!」

「あっ、そうや。有田課長が有給の件で夕方にでも連絡してって言うてたで。いつから出勤するか決まったら私にも連絡してな」

「あああ、ちょっと待って葉月!」

私が引き留めるのも聞かずに、葉月と伊藤くんは二人仲良く病室を出ていった。

ぽつんと一人取り残された私は、肩を落として大きなため息をつきながら、食べかけの昼食に向き直る。

結局、潤さんのことは何も聞けなかった。

ただひとつだけわかったのは、潤さんの様子がおかしかったということだけだ。

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