社内恋愛狂想曲
父が言っていた、“潤くんは志織のことを信じきれていない”というのは、このことだったんだろうか。
いつも余計なことは言わない穏やかで優しい父が、潤さんの焦りや私に対する後ろめたさを見透かした上で厳しい一言を言ったのだとすると、あの父も母と同様にしたたかで、一筋縄ではいかない人なのかも知れない。
「そうなんだ……。だからあんなに急いでたの?」
「うん……まぁ、志織は他の人と真逆の反応だったから余計に焦ったんだけどな」
「どうしても先入観が邪魔して……。母がそれに気付かせてくれたんだけど……」
「お母さんが?」
私は潤さんに、母がネットで検索してプリントアウトした潤さんのお父さんの記事を渡してくれたことと、記事を読んで母の言った通り自分の持っていた“大企業の社長”の先入観が覆ったことを話した。
「私の好きになった潤さんは、しっかりお父さんやおじいさんたちの心を受け継いでるんだなぁって思った。だから潤さんがまだ私と一緒にいることを望んでくれるなら、私はその気持ちに応えたいし、この先何があってもずっとそばにいて潤さんを支えていきたい」
いつも余計なことは言わない穏やかで優しい父が、潤さんの焦りや私に対する後ろめたさを見透かした上で厳しい一言を言ったのだとすると、あの父も母と同様にしたたかで、一筋縄ではいかない人なのかも知れない。
「そうなんだ……。だからあんなに急いでたの?」
「うん……まぁ、志織は他の人と真逆の反応だったから余計に焦ったんだけどな」
「どうしても先入観が邪魔して……。母がそれに気付かせてくれたんだけど……」
「お母さんが?」
私は潤さんに、母がネットで検索してプリントアウトした潤さんのお父さんの記事を渡してくれたことと、記事を読んで母の言った通り自分の持っていた“大企業の社長”の先入観が覆ったことを話した。
「私の好きになった潤さんは、しっかりお父さんやおじいさんたちの心を受け継いでるんだなぁって思った。だから潤さんがまだ私と一緒にいることを望んでくれるなら、私はその気持ちに応えたいし、この先何があってもずっとそばにいて潤さんを支えていきたい」