社内恋愛狂想曲
きっと瀧内くんも葉月と同じように、奥手な潤さんをじれったく思い、イライラしていたのだろう。

「それで親父は俺が志織と結婚して後を継ぐと思ってるし、俺も最近じいさんに会ったときに、三代続いた会社をよその人間の手には渡したくないとか、四代目として会社を守れるのは潤しかいないって拝み倒されてさ……。おばあちゃん子の玲司と同じで、俺もじいさんには弱いんだ。親父には育ててもらった恩もあるし、今の俺があるのはあの会社があってこそだから、無下に断れなくて……」

きっと今の潤さんの気持ちは、“お父さんの後を継いで代々続いてきた会社を守りたい”という方向に傾いて来ているのだと思う。

優しい潤さんのことだから、お父さんやおじいさんにそれだけ強く望まれたら、どうにかして期待に応えたいと思うのだろう。

潤さんがそんな家族思いの優しい人で良かったとつくづく思う。

「俺は昔から、親があじさい堂の社長だって知ったとたんに周りの見る目が変わるのがいやで、できるだけ知られないようにしてたんだ。志織がどう変わるのかが怖かったから、みんなに婚約者だって言ったのを利用して、早く結婚してお互いに後戻りできないようにしてしまおうって、ずるいこと考えてた。ホントにごめん」

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