社内恋愛狂想曲
潤さんはため息混じりにそう言って私を抱き寄せた。

「でもまぁ……いろいろあったけど、今はこうして志織がそばにいてくれるんだから、それでいいか」

「“禍転じて福となす”って言うもんね」

私がそう言うと、潤さんは少し首をかしげた。

「それもいいけど“怪我の功名”の方がしっくり来るな。事故にあってなかったら、お互いになかなか素直になれなかったかも」

「それはそうだけど……これくらいの怪我で済んだから言えることだね」

「確かにな。それはお互い“不幸中の幸い”ってとこか。プリンのおかげかな」

潤さんは苦笑いを浮かべながら私の頭を優しく撫でた。

潤さんとの今があるのがラッキープリンのおかげなら、その恩返しとして、会社のみんながプリンに抱く淡い夢と希望を廃れさせないために、潤さんが職場に復帰したら二人で社員食堂に行って、仲良くプリンを食べてみようかと思う。

そうすればまた新たなジンクスが生まれるかも知れない。


翌日の仕事のあとは、会社の近くのパティスリーで買ったプリンを持って、葉月と伊藤くん、瀧内くんと一緒に潤さんの病室に足を運んだ。

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