社内恋愛狂想曲
「利き手じゃなくても片方使えないとやっぱり大変そうですね。いつも食事は葉月さんが作ってるんですか?」

「遅くなったときは弁当とか惣菜買うて帰ることもあるけど、だいたいは私が作ってるで。言うても簡単なもんばっかりやけどな」

簡単なものだと葉月は言うけど、手早く美味しいものが作れる葉月はすごいといつも感心する。

「葉月のごはん、美味しいよ。ひとつの料理で次の日は別の美味しいもの作ってくれるし。カレーの次の日はカレーうどんで、焼きそばの次の日にはそばめしが出てきた」

「焼きそばに味付け直してごはんと一緒に炒めるねんな。うちのオカンがいつもやってたから、私もそれが定番やねん」

私の母はそばめしなんて作ってくれたことがなかったし、娘の私も焼きそばとごはんを一緒に炒めるなんていう発想はなかった。

そばめしは神戸が発祥の地だと聞いたことがあるから、関西では馴染み深い食べ物なのかも知れない。

「葉月のそばめし、うまいよな」

なぜか伊藤くんが得意気にそう言うと、瀧内くんはうらやましそうな顔をして葉月を見る。

「葉月さん、僕も食べたいです」

「ええよ。じゃあ明日は焼きそばとそばめしも作ろか。志織は怪我してるんやから、あんたら手伝いや」

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