社内恋愛狂想曲
「佐野さんの部屋の真上の部屋から火が出たの。夕方から何度電話しても繋がらなかったから心配してたんだけど、留守だったのね。佐野さんが無事で良かったわ」

大家さんから詳しく聞いたところ、今日の午後5時過ぎにマンションの私の部屋の真上の部屋から出火して、幸いけが人は一人も出なかったけれど、消火活動によって周りの何軒かは水浸しになっているそうだ。

特にすぐ真下の私の部屋はひどい状態らしく、元通り住める状態に戻すのにしばらくかかるらしい。

ダメになった家財道具などは出火元の住人の保険で補償されるそうだけど、「部屋の修復が済むまでの間どうする?」と大家さんは尋ねた。

身内や知人のところにお世話になるか、ホテルなどに仮住まいするのか、もし新しい部屋を借りるなら違約金なしで解約手続きにも応じますとのことだった。

そのための引っ越し費用も、やはり保険で補償されるらしい。

私は落ち着いて考えるために、「決まったらまた連絡します」と言って電話を切った。

周りで聞き耳をたてていた3人は、私が電話を切ると詳しい説明を求めた。

「今日の夕方5時過ぎに、私の部屋の真上で火事があったみたいで……」

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