社内恋愛狂想曲
潤さんがどんなことを思い出して、あんな険しい顔をしたのかが気にかかるけれど、それを無理に聞き出すようなことはしたくない。

そんな私の気持ちを察したのか、潤さんは笑みを浮かべながら卵を手に取り、ボウルに割り入れた。

「またいつか、そのうち話すよ」

「うん」

良いことだけでなく、悪いことやつらかった過去も、潤さんが話したくなったときに話してくれたらいいなと思う。

私たちはこれから結婚して夫婦になって、ずっと一緒にいるのだから。


料理の下準備ができると、瀧内くんがリビングのテーブルの上に大きなホットプレートを用意した。

葉月は腕まくりをして、油を敷いて熱した鉄板にお好み焼きの生地を丸く流し込み、その上に豚肉とエビとイカを乗せる。

伊藤くんと瀧内くんは、その様子をしげしげと眺めている。

「おおっ、今日は豪華だな!」

「いっつもは豚玉やけど、今日は退院祝いやから豪勢にミックス焼きやで!」

鉄板からは生地が焼ける音がして、湯気と共に食欲をそそるいい匂いが漂う。

まるでお好み焼き屋に来たみたいだ。

「一応ノンアルコールビールも買ってあるけど……潤くんも佐野も、お酒飲んでも大丈夫?」

「大丈夫だよ。別に薬も飲んでないし」

「私も」

< 826 / 1,001 >

この作品をシェア

pagetop