社内恋愛狂想曲
潤さんは松葉杖をついてキッチンに行き、コーヒーメーカーをセットする。

コーヒーが出来上がるのを待つ間、二人でソファーに座っていると、潤さんは私を抱き寄せて髪を撫で、頬や唇に何度もキスをした。

退院して自宅に戻って来られたものの、昨日はみんなが一緒で二人きりにはなれなかったから、今のうちにイチャイチャしとこうと思っているのかも知れない。

昨日の分までと言わんばかりに、潤さんが私に甘えてくるのがなんだか嬉しい。

「もしかして潤さん、ゆうべ部屋が別々で寂しかったの?」

私が尋ねると、潤さんは私をギューッと抱きしめた。

「そうだなぁ……。寂しいっていうか、志織と一緒がいいなぁと思いながら寝た。志織は?」

「疲れてたし、あっという間に寝たけど……寝る前に葉月と少しだけ話した」

「なんの話?」

「潤さんと私がうまく収まって良かったって言ってた。お互いに子どもができたら、その子たちははとこ同士になるんだねって」

私がそう言うと、潤さんは斜め上を見ながら何か考えたあと、楽しそうに笑みを浮かべた。

「子どもかぁ……。3人くらいは欲しいな」

「うちも3人兄妹」

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