社内恋愛狂想曲
「できません」

胸を張って答える瀧内くんに、潤さんはまたも呆れ顔だ。

「そんなこと胸張って言うなよ、情けないな……。よし、玲司は木村に教わって目玉焼き作れ」

「やってもいいですけど、味の保証はできませんよ」

「えらそうだな。とにかく食えるもの作れ、わかったな」

「御意」

昨日初めて人参の皮剥きをした瀧内くんに、目玉焼きなんてできるだろうか?

そもそも卵は割れるのか、だんだん心配になってきた。

瀧内くんはキッチンで葉月に目玉焼きの作り方を教えて欲しいと頼んでいる。

「三島課長、目玉焼きやったら私が作りますけど……」

葉月がコーヒーを運んできてそう言うと、潤さんはコーヒーを受け取りながら首を横に振る。

「いや、玲司にやらせて。木村、悪いけど教えてやってくれるか」

「わかりました」

潤さんと葉月のやり取りを聞いていると、なんだか営業部にいるような気分になってくる。

葉月はキッチンに戻って瀧内くんに卵の割り方を教え始めた。

この二人はやっぱり姉弟のようで、見ていると微笑ましい。

「瀧内くん大丈夫かな。料理はまったくできないって言ってたけど……」

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