社内恋愛狂想曲
「朝食も遅かったことだし、これから行って来たらいいんじゃないか?」

「そうですねぇ。志織、これ済んだら用意して行こか」

葉月が腕まくりをして食器を洗おうとすると、潤さんが松葉杖をついてキッチンに向かう。

「それくらい俺がやっておくから」

「えっ、でも……」

「俺は両手使えるし、ボチボチやるから大丈夫。3人は志織のマンションに行ってやって」

潤さんは松葉杖を壁に立て掛けてシンクの前に立ち、食器洗い用のスポンジを手に取った。

「じゃあなるべく早く戻りますけど……無理せんといてくださいね。しんどかったら置いといてください、私があとでやりますんで」

「ありがとう、よろしく頼むな」

潤さんが食器を洗い始めると、葉月は私の方を振り返る。

「ほな志織、急いで出かける用意して、マンション行こか」

「うん」

私と葉月は2階の部屋で簡単に身支度を済ませ、マンションの鍵を持ってリビングに戻った。

その間、伊藤くんは風呂掃除をして、瀧内くんは布団を干していたらしい。

おそらく潤さんに指示されたのだろう。

これまでは伊藤くんと瀧内くんの世話を焼いていた潤さんが、二人に少しでも生活力をつけさせようとしている様子は、まるでお父さんのようだ。

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