社内恋愛狂想曲
「じつは、学生時代の友人なんだ」

「えっ、友人?!」

私と潤さんが声をそろえてそう言うと、潤さんのお父さんは嬉しそうに笑う。

「高校時代の同級生なんだよ。志織さんのお父さんはとても頭が良くて成績がいつもトップだったから、よく勉強を教えてもらったんだ。しかし驚いたなぁ……志織さんのお父さんがサクちゃんだったとは……」

父親同士が学生時代の友人だなんて、偶然にもほどがある。

あまりの衝撃で、私も潤さんも言葉が出ない。

父は潤さんからあじさい堂の社長の息子であることを打ち明けられたときに、潤さんの父親が学生時代の友人の“イチ”だと気付いたと言った。

二人とも名前の頭に“シュウ”が付くので、“イチ”“サクちゃん” と呼び合って、共に学び、ときに将来について語り合い、青春時代を一番長く一緒に過ごした友人なのだそうだ。

だけどそれは私と潤さんの結婚とはまた別の話だから、父はあえて何も言わなかったらしい。

それを聞いた母はほんの少し不服そうだ。

“どうして私にまで隠してたのよ?”とでも思っているのだろう。

「積もる話もあるけど、それは置いといて……まずは潤と志織さんの話をしようか」

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