社内恋愛狂想曲
父は懐かしそうにそう言って笑った。

私たちが生まれるずっと前の若かりし日の父を、少しだけ知ることができた気がした。


父たちの懐かしい話は尽きないようだけど、9時頃に実家を出て家まで送ってもらった。

家に帰るとダイニングのテーブルには葉月からの書き置きが残されていた。

明日はバレーの練習日で、練習のあとは3人とも大事な用があって来られないので、すぐに食べられるようにシチューを多めに作っておいてくれたそうだ。

念のため食材も少し買い足しておいてくれたらしい。

“できないことは月曜日に私らがやるから無理せずに、明日は二人でゆっくり過ごしてな!”としめくくられていた。

葉月たちの気遣いは感謝の一言に尽きる。

それからお風呂に入ることになり、ギプスが濡れないように、潤さんにポリ袋とラップを巻いてもらい医療用テープで固定してもらった。

「志織は風呂に入るときはいつもどうしてた?」

潤さんは自分の足のギプスにポリ袋をかぶせながら尋ねる。

自分で洗えない右腕と背中だけ葉月に洗ってもらっていたと答えると、潤さんは急に顔をあげて私の方を見た。

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