社内恋愛狂想曲
お湯に浸かりながらそんな話をしているとすっかり長湯してしまった。

のぼせそうになりながらお風呂から上がり、パジャマを着たあとは、リビングのソファーに座って冷たいビールで乾杯した。

「はぁ……今日はなんか疲れたな……」

「うん……長い一日だった……」

潤さんは私を抱き寄せて優しく頭を撫でる。

湯上がりのいい香りがして、私は思わず潤さんの胸元に頬をすり寄せた。

「なんかごめんな。親父があんまり急かすから、結局いろいろ急ぐ形になって……」

「うん……でもいいの。これで心置きなく潤さんと一緒に暮らせるから」

笑ってそう言うと、潤さんは嬉しそうに口元をゆるめる。

「そうだな。そうか、志織が俺の奥さんになるのか。志織と本当に結婚できるなんて、なんかまだ夢みたいだなぁ」

夢みたいだなんて大袈裟だと思うけど、私との結婚をそれほど喜んでくれているのだと思うと嬉しくて、私もつられてニヤニヤしてしまう。

「子ども早く欲しいから入籍しようって言ったけど……仕事のこともあるし、子どもはやっぱり、怪我が完全に治って生活がちゃんと落ち着いて、受け入れる準備が整ってから欲しいな。潤さんと二人きりの生活も少しは楽しみたいし……」

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