社内恋愛狂想曲
潤さんが望んでいたかどうかは別として、私が心の中で一度は否定した“裸エプロンは男のロマン”説は、あながち間違ってはいなかったようだ。

しかし営業部の若い男たちは、女性のいない飲み会ではこんなバカなことばかり言っているんだろうか?

「じゃあ……メイド服は?」

「それはみんなが……。一度は彼女にメイド服のコスプレをして欲しいって。話のネタに何人かでメイド喫茶に行ったら全員めちゃくちゃ萌えたから、きっと俺もハマるだろうって……」

「ちなみにそこに瀧内くんもいた?」

「玲司も志岐もいたよ」

つまり潤さんは、完全に瀧内くんにおちょくられていると、そう捉えていいだろうか?

男のロマンがぎっしり詰まった箱を二人きりのときに開ければ、潤さんが嬉々として着せ替え人形の如く私にコスプレをさせて欲情するとでも思ったに違いない。

自制しろと何度も念を押したのは瀧内くんなのに、率先して潤さんの欲情を煽ってどうするつもりだ!

「事情はだいたいわかりました。それで結局潤さんは、これを私に着て欲しいの?着て欲しくないの?」

「……めちゃくちゃ着て欲しいです……。絶対かわいいと思うので、できれば今すぐにでも……」

「これがあるので今すぐには無理です」

ギプスを指さしてそう言うと、潤さんは上目遣いに私を見る。

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