社内恋愛狂想曲
ゆう子さんはハンドルを握り前を向いたまま口を開く。

「わたくしの目に狂いがなければ、志織さんの薬指のサイズは左が10号、右が11号です。今は左手の薬指につけられているのでゆるいと思いますが、左手の薬指には結婚指輪をつけることになりますので、そうすると婚約指輪は右手の薬指につけるのがよろしいかと」

潤さんは私の左手の薬指から指輪を抜き取り、右手の薬指につけ直した。

あつらえたようにピッタリだ。

普通の状態でも見ただけではわかりづらいだろうに、私の左手はギプスをして三角巾で吊った状態だから、指なんて見えにくいと思う。

それでもわかってしまうのはなぜなんだ?

ゆう子さんの目にはカウンター的な、精密なセンサーか何かが搭載されているんじゃなかろうか?

「ピッタリ……。なんでわかったんだろう……」

「ビックリしただろ?ゆう子さんはジュエリータキウチの社長の娘なんだ」

「えっ、ジュエリータキウチ?!」

ジュエリータキウチと言ったら国内最大手のジュエリーショップチェーンだ。

おそらく良家のお嬢様だとは思っていたけれど、私の想像を遥かに超えている。

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