社内恋愛狂想曲
それがきっと潤さんのお父さんにとって、最高の贅沢であり癒しなのだと思う。

私も潤さんがどんなに疲れても安心して帰れる“家庭”という場所を守りたいと思った。



お弁当を食べ終わって30分ほど経った頃、私の本籍地の役所に到着した。

潤さんは車に残り、ゆう子さんが窓口まで付き添ってくれて、無事に戸籍謄本を受け取ることができた。

それからゆう子さんは私の実家へと車を走らせた。

実家に着くと父は仕事のため不在で、昨日ゆう子さんから連絡をもらったという母が私たちを出迎えてくれた。

挨拶もそこそこに、ダイニングのテーブルで私と潤さんが並んで席に着き、向かいには母とゆう子さんが座る。

ゆう子さんはバッグから取り出した婚姻届をテーブルに広げ、朱肉と印鑑マットを用意して、高そうなボールペンを潤さんに渡す。

「お二人にはこれから婚姻届に署名と捺印をしていただきます。念のため予備の用紙も用意してありますが、間違えないよう焦らず丁寧に記入してくださいね」

潤さんは緊張の面持ちで婚姻届にペン先を下ろし、“夫になる人”の欄に丁寧に署名した。

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