社内恋愛狂想曲
営業部にいた頃に何度も目にしていた、力強くも繊細な、見慣れた文字だ。
それから住所や本籍地などの必要事項の記入と捺印が終わると、私にボールペンを差し出した。
私は母が見守る中、ひとつ深呼吸をして、ドキドキしながら“妻になる人”の欄に署名をする。
住所欄には新しい住み処となった潤さんの家の住所を書き、本籍地欄には戸籍謄本を見て確認した正しい実家の住所を記入した。
ひとつ記入欄を埋めるごとに大きく息をつく。
これまでに経験したことのない緊張感に支配されているような気がする。
すべての記入が終わると、ゆう子さんはバッグから小さな長方形の包みを取り出して私の手に握らせた。
「これは?」
「修一さんから志織さんへのプレゼントです。開けてみてください」
私が包みを開ける手元を潤さんが隣で覗き込むように見ている。
包装紙を開くと桐箱が現れ、その中には藤色のケースに収められた“三島”の判子が入っていた。
「婚姻届に押すのは“佐野”の姓の判子ですが、届け出をしたあとは志織さんも“三島”になりますので、この判子をお使いくださいね」
それから住所や本籍地などの必要事項の記入と捺印が終わると、私にボールペンを差し出した。
私は母が見守る中、ひとつ深呼吸をして、ドキドキしながら“妻になる人”の欄に署名をする。
住所欄には新しい住み処となった潤さんの家の住所を書き、本籍地欄には戸籍謄本を見て確認した正しい実家の住所を記入した。
ひとつ記入欄を埋めるごとに大きく息をつく。
これまでに経験したことのない緊張感に支配されているような気がする。
すべての記入が終わると、ゆう子さんはバッグから小さな長方形の包みを取り出して私の手に握らせた。
「これは?」
「修一さんから志織さんへのプレゼントです。開けてみてください」
私が包みを開ける手元を潤さんが隣で覗き込むように見ている。
包装紙を開くと桐箱が現れ、その中には藤色のケースに収められた“三島”の判子が入っていた。
「婚姻届に押すのは“佐野”の姓の判子ですが、届け出をしたあとは志織さんも“三島”になりますので、この判子をお使いくださいね」