社内恋愛狂想曲
私も潤さんも入籍のことで精一杯で、そんなところにまでは気が回らなかった。

経験豊富な年長者のアドバイスは、私たちのように社会的な知識や経験の浅い未熟者にとってはありがたい。

「では次に……婚姻届の証人は2名必要ですが、今回はお二人のお知り合いにお願いする時間もないと思いますし、昨日志織さんのご両親と相談して、どちらのお父様もお仕事で都合がつかないとのことですので、志織さんのお母様とわたくしがサインをさせていただくことにしました。よろしいですか?」

そういえば証人二人に署名をしてもらう必要があるとゆう子さんから聞いていたけれど、すっかり忘れていた。

本当に何から何まで甘えっぱなしの任せっきりで申し訳なく思うし、大人として少々恥ずかしい。

「もちろんです。志織もいいよね?」

「はい、お願いします」

私たちが頭を下げると、ゆう子さんは婚姻届の用紙を母の前に置き、ボールペンを母に手渡した。

「では君枝さんから記入をお願いします」

「わかりました」

母は少々緊張した様子でペンを握り、証人の氏名欄に丁寧に名前を記入する。

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