社内恋愛狂想曲
「主にお料理の話ですね。先日いただいたお料理がとても美味しかったので、わたくしもレシピを調べて作ってみたんですが、君枝さんのように美味しくは作れなかったんです。そのことを話すとコツを教えてくださって、他にも作ってみたい料理があると言ったらレシピをメモしておくと……。先ほどお菓子と一緒にそれをいただいたんです」

なるほど、家庭料理なら母の得意分野だ。

若い頃にお菓子作りに凝っていた時期もあったらしく、私たちが子どもの頃には誕生日やクリスマスのケーキも手作りだった。

「それに編み物がとてもお上手なんです。先日お伺いしたときに君枝さんが着ていた手編みのセーターがとても素敵だったので、どちらのお店で買われたのかと聞いたんですが、ご自分で編んだとおっしゃって。わたくしも挑戦してみたいと言ったら、教えてあげるからいつでも遊びに来てと……。とてもおおらかで面倒見の良い優しい方ですね」

おおらかで面倒見の良い優しい方……?

確かに娘の私とは正反対で、器用で要領が良いとは思うけど、大雑把で世話焼きでお節介な母が、ゆう子さんの目にはそう映ったらしい。

アネゴ肌の母にとって、素直に頼ったり甘えたりできるゆう子さんは、とても庇護欲が掻き立てられる存在になるのではないだろうか。

なんにせよ、両家の母親同士が仲良くできるのはいいことだ。



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