社内恋愛狂想曲
「はい、間違いなどはありませんね。書類の方はこれで大丈夫です」

そう言って担当者は私たちの婚姻届に丁寧に受理印を押した。

これで私たちは正真正銘の夫婦になった。

今この瞬間から、私は三島 志織になったのだ。

そう思うとなんだかくすぐったいような、嬉しくて周りの人に大声で自己紹介したいような、不思議な気持ちになった。

「ご結婚おめでとうございます。末長くお幸せに」

「ありがとうございます!」

私たちが声をそろえてお礼を言うと、担当者はにこやかに笑いながら、引き出しから薄い冊子を取り出してカウンターの上に置いた。

「今後必要な手続きなどの流れをこちらに記載してありますので、参考になさってください。わからないことがありましたら、なんでもご相談くださいね」

担当者はパラパラとページをめくって、必要な手続きとそれをスムーズに済ませられる順番などを簡単に説明してくれた。

それから私の転入届けと潤さんの印鑑登録の手続きも済ませ、役所を出る頃にはすでに日が暮れて辺りは薄暗くなっていた。

車に乗り込み時計を見ると、時刻は4時40分になるところだった。

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