社内恋愛狂想曲
「なんとか今日中に入籍できましたね」

「はい、必要な手続きもいろいろ済ませることができて助かりました。ゆう子さん、本当にありがとうございました」

潤さんと一緒に頭を下げてお礼を言うと、ゆう子さんは柔らかい笑みを浮かべた。

「何も気になさらなくていいんですよ、わたくしはお二人の母なんですから」

その言葉を聞いて、潤さんと結婚したことで私に二人目の母ができたのだと思うと、感慨深いものがある。

ゆう子さんは車を発進させる前に私たちの方を振り返った。

「手続きは無事に完了しましたが……お二人とももう少しだけお時間よろしいですか?」

「ええ、大丈夫ですけど……」

「では参りましょう」

どこへ行くのかは告げず、ゆう子さんは車を発進させる。

まだ何かやるべきことがあっただろうかと思いながら、私と潤さんは顔を見合わせた。

「あのー……どちらへ?」

私が尋ねると、ゆう子さんは「うふふ」と可愛いらしく笑う。

「着いてからのお楽しみです」

お楽しみってなんだろうと思っているうちに、車は役所から10分ほどの場所にあるショッピングモールに到着した。

私と潤さんは何がなんだかわからないまま、車を降りてゆう子さんの後ろをついて歩く。

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